「電池が、後2コしかない……!」
カーレルが、大仰な物言いで呟いた。
読んでいた本から視線を上げて、見ると、携帯電話を目の前にしかつめらしい顔をしている。
「ねえ、ディムロス……充電器持ってない?」
「私とお前とでは機種が違うだろう。」
私とカーレルの携帯電話はメーカーが違う為、充電器は恐らく使えないだろう。
それぞれに対応した充電器もあるにはあるらしいのだが、私の家にあるのは各メーカー専用のものだった。
「あーあ、充電してからくればよかった……。」
しょんぼりと項垂れるカーレルに、少々呆れを感じながら溜め息を零す。
「何を電池くらいで……。」
たかが携帯電話じゃないか。
そんなものなど無くても特別不便だとは感じないのに。
「でも、電池がないと……。」
「そんなに困るのか?」
「困るに決まっているじゃない、電池2コだよ? ゲームで言うなら赤ランプだよ?」
カーレルの言い方だと、何だか携帯電話が使えなくなる事よりも電池残量が少ない事の方が問題のように聞こえる。
それでは本末転倒ではないか、と言い掛けたその時。
「…………充電、しようかな。」
カーレルがぽつりと呟いた。
まさか、メーカーの違う充電器をむりやり突っ込むつもりだろうか。
それは幾らなんでも、流石に壊れてしまう。
「おい、カーレル……。」
やめておけ、と言い掛けた瞬間。
膝の上に正面を向いたカーレルがストンと降ってきた。
「充電。」
「な、何をして……。」
そう言いながら抱きついてくるカーレルに、訳が分からずに戸惑う。
「ディムロス分の充電。」
「何を訳の分からない事を……。」
溜め息を零すと、カーレルは不服そうにして言った。
「私は今、電池が残り1コなんだよ。」
ますますもって意味が分からない。
「ディムロスが足りてなくて、頭の中で赤ランプがチカチカしてるんだ。」
「つまりは、どうしろと……?」
「ディムロスはもう少し私に構うべきだね。」
不敵な表情でカーレルが笑う。
読んでいた本は取り上げられて、静かに口付けられた。
ああ、こんな人の悪い表情は久しぶりに見たな、と思いながらそれを受け入れる。
「…………好きにしろ。」
「ああ、好きに充電するさ。」
何だ、結局は携帯電話なんてなくてもいいんじゃないか。
ディムカー?^▽^
カレディム?^▽^
まあ、この二人は中途半端でいいと思います^^^^^