※女体化でアマツカさん宅の弟ハロルド(アルベルト)×拙宅の弟ハロルド(ロベルト)というお話です
 閲覧の際はご注意を!





「ロベルトー。」

アルベルトがにこやかな笑顔でこちらに駆け寄ってくる。

「おはよ、アル。」
「うん、おはようー。」

にこにこと楽しそうに微笑んだまま朝の挨拶を交わすと、アルベルトはポケットから小さな紙の包みを取り出した。
白地にピンクの小さな花の模様が描かれたそれは、アルベルトの掌の中に可愛らしく収まっていた。

「はい、これ。」
「はい……って、何コレ。」

アルベルトに渡された包みを受け止めて呟く。

「開けてみてよ。」

アルベルトのその言葉に従って、封になっているシールをそっと爪で剥がした。
包みを傾けると、ころんと姿を現したそれは……。

「…………何、コレ。」
「リップスティックでーす。」
「は? え? で、これをどうしろと……。」
「勿論、ロベルトにつけて欲しくて渡したんじゃーん。」

ちょっと待て、何かそれ、おかしくないか!?
慌てて返そうとするが、アルは腕を後ろに組んで受け取ろうとしなかった。

「い、いいよ! いらないよ!」
「えー、折角のプレゼントなのにいらないって言われたー。アルしょんぼりー。」
「い、いや、だって誕生日でもないのにプレゼントなんて受け取れないって……!」

ぶんぶんと首を振るオレに、アルベルトはにこりと微笑んで言った。

「いいのいいの。だって、アルがそれ塗ったロベルト見たいだけだもんねー。」
「いやいや、絶対似合わないって……!」
「似合うよー。」

全く、何を言い出すかと思えばこいつは……!
そんなものがオレに似合うはずないじゃないか。

そんな……女の子らしいもの……。

「だって、お店でこれ見たときさー。真っ先にロベルトの顔が浮かんだんだよね。絶対ロベルトに似合うよ。」
「え、あの、でも……。」
「ホラ、かして。」

そう言って、アルベルトはオレの手からリップスティックを取ると、キャップをその細い指で引き抜いた。
くるくるとスティックの芯を手際よく回転させてゆく。

「はい、上向く。」
「う、あ、ああ……。」

言われるがままに上を向くと、顎をつかまれてスッと唇にリップをひかれた。

「あ、ホラ、やっぱかわいい……。」

アルベルトが嬉しそうに微笑む。
その笑顔に少しだけドキリとした。

「か、かわいくなんてないって!」
「大丈夫大丈夫、すごくかわいいから!」

それを隠すように乱暴に言い捨てる。
そんなオレに、包みが入っていたのとは反対側のポケットからアルベルトは手鏡を差し出した。
反射で映る自分の顔。

薄いオレンジに色づいた唇。

「に、似合わねーよ……!」

気恥ずかしさに、口元を押さえて俯いた。

「似合うよ、ロベルトの事大好きなアルが選んだんだから間違いなし!」

しかし、微笑ましいまでににこにこと笑うアルベルトに何だか毒気を抜かれてしまいそうになる。

「で、キスしてリップ落ちたらアルがまた塗ってあげます。」
「…………お前、ホントばか。」
「ロベルトとキスできるんなら、ばかでもいいよー。」

全く、朝の教室で何て事を言うのだろう……。
まだ、誰も来ていなくてよかったと、薄く色づいた唇で小さく溜め息を零した。










アマツカさんとの絵チャ中にタイムトライアルで書いたものです^▽^

書くのに18分、手直しに凡そ5分
まあ、20分前後くらいでSS1本かけるな……!っていう^^^^^