「ゼロスーこっちおいでよー。」
「はいはーい、ちょっと待ってねー。」

コレットちゃんに呼ばれて、俺はそのままフラフラとそちらへ歩み寄る。
俺が寄っていくとコレットちゃんはにっこりと微笑んだ。
つられて俺も微笑み返す。

「はい、なぁーに? コレットちゃん?」
「うん、えっとね、ゼロスもこっちに来て一緒にお菓子食べないかなーって思ったの。ジーニアスがくれたクッキーがあるんだよ。」

にこにこと笑みを絶やさない彼女は、レースペーパーに包まれた菓子を俺に向けて差し出した。

「えーマジ? うれしー! でも、いいのーロイド君呼ばなくって?」
「うん、いいのいいの。ロイドは今、剣術のお稽古してるし。それにロイドの分はジーニアスが持ってるから。」

向日葵のように晴れやかにそう言って、彼女は俺に菓子を握らせた。
そして、肩から掛けた水筒を、紐の間から首を抜いて外すとこちらに示してみせた。

「あっ、あとね、お茶もあるの。ね、ちょっとしたピクニックみたいでしょ。」
「おーさっすがコレットちゃーん! 気が利くねー。」

一度裏切った俺にも平等に、訳隔てなく接してくれる。
どんな罪を犯した人間にでも優しく微笑んでくれる。





たった16歳の女の子なんだぜ。
16年しか生きられないって言われて、周りの期待を一心に背負って、命がけの旅をして。
それでも全てに平等に優しく微笑んでいる。

ありえねーよ。
これで俺と同じ神子なんだぜ?

俺は、ずっと神子なんてゴメンだと思ってた。
逃げ出したいと思ってた。
その重圧に耐え切れなくて、幼い頃は何度も何度も夜を泣き明かした。

「ゼロス、はいお茶。」
「ありがとーコレットちゃん。」

きっと彼女は俺とは違う。
口先だけだなどと言っていたが、その時がくれば決して逃げたりなんてしないだろう。

「俺さまコレットちゃん大好き。」

それが、あんまりにも眩しくて。

「うん、私もゼロス好きだよ。」

強すぎる、焦がれる程の憧れ。
彼女こそまさに、女神だ。










ゼロスはコレット大好きです
ある種の憧れもってます
恋愛感情じゃないけどね!
きっと絶対服従だね^^^^^