「あーあーロイド君、早く帰ってこねーかなー。オレ様マジで暇なんだけど。」
ソファに座っていたゼロスはそう言って、足元にいるクラトスの黒い毛糸の背中に抱きつく。
リビングのマットの上に腰を据え洗濯物を畳んでいたその人物は、手を止めジトリとした目つきでゼロスを見遣った。
「…………ゼロス、何をする。」
「いやー天使様のもっこもこのセーターが温そうだったからさー、ちょーっとちょっかい出したくなったっていうかー。」
ゼロスがにやにやと言うとクラトスは深く溜息を吐いて、
「そうか、帰れ。」
とだけ言った。
「つれねー……。」
ゼロスがそれを聞いてつまらなそうに言う。
「お前が家事の邪魔をするからだろう。」
そう言ってクラトスは止めていた手を再び動かし始めた。
何だかんだで追い出すつもりはないらしい。
だが大人しくしないで追い出されるのも嫌なので、ゼロスも大人しくソファに座ってクラトスの姿を眺めることにした。
ロイドのシャツを手際よく畳んでいくその姿。
「似合わねーっつーか、似合うっつーか……。」
いかにも主夫然とされると、どうやら似合わないものでも似合って見えるらしいなどと失礼なことを考えながら、ゼロスは溜息を吐いた。
しかし、黙々と家事をこなす様は些か機械的で。
(マジでつまんねー……。)
ゼロスは再びクラトスの背中にちょっかいを出す事にしたらしい。
背後から腕を回してにやにやと耳元で囁く。
「なー天使様ーちゅーしようぜ。ちゅー。」
瞬間。
ゼロスの鳩尾に肘が入る。
「断固として、断る。」
悶絶するゼロスに対し、冷ややかにそう告げてクラトスはまた洗濯を畳み始める。
「か、からかっただけなのに……。」
「うるさい、帰れ。」
どうやら今度のは本気らしい。
「あーマジつれねー、天使様。」
鳩尾を押さえながら起き上がったゼロスが不服そうに呟く。
「お前が悪い。」
しかし、ピシャリ一喝されてしまう。
「へーへー、どーせ俺様が悪いですよー。」
拗ねたようにそっぽを向くゼロスにクラトスはまた溜息を吐いて、
「それが分かっているなら手伝え。」
洗濯物の山を軽く指差して言った。
ゼロスは一瞬ぽかんとしていた。
「…………しょうがねえなあ、手伝ってやるよ。」
しかし次の瞬間にはそう言って、洗濯物に手を伸ばすのだった。
父さんはきっと鉄拳制裁派(ただきっとロイド君には4割程甘い)
あと、ぶっちゃけゼロスはクラトス嫌いだと思ってると私が思ってる(分かりづらい)
つまり↑はゼロスのいやがらせ^▽^
クラトスもゼロス嫌いだけど結局二人ともなんだかんだでロイド君を間に挟んで仲良くしてしまうといいと思います