「あっつ……。」

もう夕刻になろうというのに、太陽はじりじりとアスファルトを焦がし、照り返された熱線が肌を焼く。
シャツの中で、汗が背をつうっと伝っていくのがどうしようもなく不快で仕方がなかった。

今も、髪の生え際から頬を伝って、汗がじわりと顎へと流れた。
舌打ちしながらそれを拭って、冷房の効いた教室へとオレは足を進めた。

廊下は熱気が篭っていて気分が悪くなりそうだったが、足早に進んで教室へ向かった。

「あー、マジで暑い……。」

教室の扉を開いた所で、空気に対流が起こって一気に風が傍を通り抜けた。
体の表面をヒヤリと撫でる風に幾分マシな気持ちになりながら、オレは自分の席に腰掛けた。

「くそ……、コンビニ行くだけでバテるっつーの。」

コンビニのロゴがプリントされたビニール袋を机の上に投げ出して、大きく溜め息を吐いた。
何故、夏というのはこんなにも暑いのだろう。

「あら、おかえりなさい。」

制服を涼しげに着こなして、汗一つかいていない顔でアトワイトはにこりと微笑んだ。
長い髪を耳にかきあげて、アトワイトはこちらへと歩み寄ってくる。

「私におみやげは?」
「ねーよ。」

あっさりとそう言うと、アトワイトは少しだけ形のいい眉を顰めて呟いた。

「つまんない。」

それを見遣りながら、小さく溜め息を零す。

「つーか、何でさも当然のように土産があると思ってんだよ。お前は。」

アトワイトは不敵な笑みでにこりと微笑むと、オレの耳元でそっと囁いた。

「あら、じゃあディムロスの分はあったりするんだ?」
「…………お前なあ、馬鹿言ってんじゃねーよ。」

はあ、と更に溜め息を零してオレは傍に寄ってきたアトワイトを押し退けた。

そして、ビニール袋からアイスの袋を取り出して封を切った。
中にはソーダ味の、二つに割れるアイス。

「ほら。」

そう言いながら割った片割れを差し出すと、アトワイトがきょとんとした顔をした。
ぱちぱちと目を瞬かせる様は、意外と幼い。

「いらないのかよ。」

それに驚きながら、少し溶け始めているアイスを更に突き出した。

アトワイトは小さく笑って、髪をかきあげながらアイスの先をそっと銜えた。
それを見て手を離すと、アトワイトはアイスの棒を手に持ち替えて優美に微笑んだ。

「ごちそうさま。」

そう言って、オレの机に座ると鼻歌を鳴らしながらアイスを食べ始めた。

「ドーイタシマシテ。」

はああ、と殊更大きな溜め息を吐いて、オレが座っている椅子の正にまん前で、堂々と足を組む女に不服の意を表した。

しかし、アトワイトがそんな事を気にする筈もなく。
オレは仕方なく持っていかれたアイスの残り半分を口にした。









アンケ第八弾なハロ(♂)アトでした!^▽^

しかし、ウチのサイトのハロルドとアトワイトでハロアトってムリがあるよな……
どう見てもアトハロ臭い残念なハロアトですが、これでも頑張った……つもり、です……^q^