「あら、シャルティエ。丁度いいところに。」
アスファルト道路のてらてらした照り返しの向こうから、健康的な白い足と、清楚な白いワンピースがひらひらと近づいてきた。
面倒なプールの補修からの帰り道をぼうっと歩いていた僕はその姿にはたと足を止める。
「アトワイト。」
僕が名を呼ぶと、彼女は真っ白なレースの傘の下でにこりと微笑む。
「うちの母からおつかいを頼まれてたの。これ、おばさんに。」
「え、母さんに?」
そう言ってアトワイトは赤と白のビニール紐で縛ったスイカを僕に手渡した。
中身が確り詰まっているらしいスイカは、僕の手の中でずしりと重い。
「こういうのは男が持つものよ。」
「嫌なタイミングで見つかっちゃったなあ……。」
僕は学生鞄とプールバッグとスイカを持て余しながら、拗ねるように小さく言った。
「どうせ、後でこれを食べるのは貴方でしょ。文句言わないの。」
「ちぇ。」
アトワイトと鉢合わせた曲がり角を曲がりながら、両手が塞がったままの僕は首筋を伝う汗を肩で拭った。
「どうせ、アトワイトも食べるくせに。」
僕が言うと、アトワイトは笑って「当たり前じゃない。」と言った。
こんなのは何だかずるいと思いながら、僕はアトワイトと一緒に家に帰るのだった。
アンケ第11弾アトシャル^▽^
珍しく短く纏めきれた感のするお話