「アトワイトー、早く早く!」

ピンクの頭がビニールハウスの中の緑を背景にぴょこぴょこ揺れる。

「焦らなくたって、逃げやしないわよ。」

ハロルドはぶーぶーと頬を膨らませて駄々を捏ねる。
私はまるで子供の様なその仕種にくすくすと小さく笑って、彼女の傍までゆっくりと歩み寄った。

「もし逃げたらどーすんのよぅ!」

ハウス栽培の苺がどうして逃げるというのだろうか。
相変わらず彼女の思考回路は突飛だ。

「そうね。もし苺が逃げたら、その時はお腹いっぱいの苺を買ってあげるわよ。」
「約束だかんね!」

そう言いながら、ハロルドは手近にあった苺を一つ摘んで口に放った。

「んー、あまっ、おいしー!」

彼女の満足そうな表情に、思わずこちらが嬉しくなってしまう。
ああ、なんと可愛らしいのだろう。

「ほらぁ、アトワイトもちゃんと食べなさいよ。」

そう言って、もう一つ摘んだ苺をこちらに向かって差し出してくる。
そんな彼女の純粋な子供らしさが、時として本当に愛おしい。

「そうね、頂くわ。」

頬に垂れる髪を掻き上げながら、彼女の為に少し身を屈めて苺を啄ばむ。
取れたての苺の瑞々しさと甘さが口の中に広がる。

「本当ね。甘くて美味しいわ。」
「でっしょー?」

私がそう言うと、彼女は得意気にそう言った。
自分が育てたわけでもない癖に、何故そんなに彼女が得意そうにしているのだろう。
またおかしくなって私がくすくす笑い出すと、彼女は「何よぅ。」と口を尖らせる。

「何でもないわ。ハロルドがかわいいから、いけないのよ。」
「……何それ。」

すっかり拗ねてしまった彼女のピンクの頭に小さくキスをする。
彼女は渋々といった表情を作りながら、許してくれた。

「ほら、逃げたら困るんでしょ。食べましょうよ。」
「そうね。」

わざと大人ぶって澄ました振りして、彼女はあっさり割り切ったかのように振舞う。
でもね。口元が笑ってるの、隠れてないわよ。

心の中でそう小さく呟いて、私はハロルドと一緒に二時間の苺狩りに身を投じるのだった。









アンケ第13弾アトハロ(♀)^▽^

アトワイトとハロルドがいちゃいちゃキャッキャしてたらいいよね! というだけの話^^^