※女体化でアマツカさん宅の弟ハロルド(アルベルト)×拙宅の弟ハロルド(ロベルト)というお話です
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「アル。」
椅子に腰掛けた、黒髪の長い尻尾に呼び掛ける。
「なあに、ロベルト?」
くるり。
振り向くアルベルトの動きに沿って、ポニーテールが弧を描いた。
「えっと、あの……この間のリップのお返し。」
言いながら、その頭にポンと紙袋を載せる。
何故そんな渡し方をしたかと言うと、何の事はない、ただ普通に渡すのが気恥ずかしかっただけだ。
「えー、なになに? アルにプレゼント? 嬉しいなあー。」
にこにこと笑いながら頭の上の紙袋に手を伸ばすアルベルト。
そこからパッと紙袋を取り上げる。
「やっぱ、今の無し……!」
「え?」
きょとんとしているアルベルトの目の前で、紙袋をがさがさと乱暴に開く。
「オレがちゃんと渡すから、今の無し!」
言うと、アルベルトがへらりと笑った。
「あーもー、かわいーなー、ロベルトは。」
「か、可愛いって何だよ……!」
「え、かわいいって、勿論ロベルトの事に決まってるでしょ。」
アルベルトがあっさりとそう言う。
何でこいつはこうもいけしゃあしゃあと恥ずかしい事が言えるんだか。
溜め息を吐きながら、紙袋の中の指輪を取り出す。
銀の細い縁取りに、紫の石を中央に宛てがったものだ。
そんなに高いものではないが、きっとアルベルトに似合うだろうと思ったのだ。
「お前、ネックレスはいつもしてるし……、イヤリングだと失くしそうだし……、指輪だったらいいかなって思ってさ。」
アルベルトがくれたみたいに、リップなんかの化粧品でもよかったが、何がいいかオレにはよく分からなかったし、それだとアルベルトの真似をしているようで何となく癪だったのだ。
「これくらいのサイズならいけるだろ?」
アルベルトがぱちぱちと目を瞬かせる。
一応フリーサイズの物を選んだのだが、駄目だったのだろうか。
それともデザインが気に入らなかったのか。
不安になりながらその瞳を見つめていると唇が小さく動いて、アルベルトがぽつりと呟いた。
「…………それは、左手の薬指にはめればよいですか?」
「…………え。」
暫く、思考が止まる。
意味を理解した瞬間に、一気に自分の顔が赤くなるのが分かった。
「っば、おま、なななな何そんな恥ずかしい事言ってんだよ……!」
「え、違うの?」
大真面目な顔をして聞き返してくるアルベルト。
「違うよ、当たり前だろ……!」
「いや、てっきりそうかと……。」
何がどうてっきりしたらそうなるんだ……!
全く、こいつの思考回路は突飛すぎる!
「……これは、普通に、ファッションリングだ。」
「ちぇー。」
「…………いらないなら、いいけど?」
手に持った指輪をスッと引くと、アルベルトが慌ててオレの手首を掴んだ。
「あ、やだやだ! アル、ロベルトからのプレゼント欲しいです!」
普段はあまり慌てる事のないアルベルトの、そんな様子に小さく苦笑が漏れた。
「全く、ほら……。」
その掌にそっと指輪を落とす。
銀色がくるくると円を描いてその手に落ち着く。
「…………せめて、はめてくれてもいいと思うんだけどな。」
少し不服そうにアルベルトが呟く。
まあ、確かにこれは少々味気ない。
「う、じゃあ……手出して……。」
「はい。」
躊躇いがちに呟くと、アルベルトは何の迷いもなく手を差し出した。
その人差し指にそっと指輪をはめる。
「こ、これで……いいか……?」
手元を見る為伏せていた視線を上げると、とても嬉しそうなアルベルトの顔が目に入った。
思わずドキドキしてしまって、慌てて視線を再び下げる。
「ロベルト、ありがとー。」
「あ、ああ……。」
どうしよう、ドキドキする……!
何だこれ、プレゼントを贈るのってこんな恥ずかしいもんなの!?
ああ、いっそ、何処かに隠れてしまいたい……!
「アル、これ大切にするよー。」
「う、うん……。」
でも、アルベルトが何だかとっても嬉しそうで、何だかとっても幸せそうだから、物凄く恥ずかしいんだけれど……まあ、いいかと思ってしまう辺り、オレは馬鹿なのかもしれない。
「ロベルト、大好き。」
「…………うん、オレも。」
取り敢えず、アルベルトの誕生日にはまた何かプレゼントを贈る事にしよう。
ガチユリアルロベ!^^^^^
一応、「カラータイトル」のリップスティックの続きとなっております^▽^